INTERVIEW

インタビュー

ソーシャルファームかがやき

所在地:兵庫県川辺郡猪名川町柏梨田字前ヶ谷

自然豊かな山あいの街に2023年7月にオープンした、就労継続支援B型「ソーシャルファーム かがやき」。障がいをお持ちの方の作業所としてだけではなく、指定福祉避難所として、さらには誰もが食事や自家焙煎コーヒーを楽しめるカフェとして、集い憩える空間となっています。

「ソーシャルファームかがやき」とはどのような施設ですか?

避難所やカフェを併設した、地域に開かれた就労支援施設です

施設長
「一般事業所での就労が難しい心の障がいを持つ方々を迎え、社会生活や経済活動への参加・適応を促進することを目的とした施設です。もともとは別の施設の一角で始まった活動でしたが、規模が大きくなるにつれてスペースが手狭になったため、指定福祉避難所などの機能を付加しながら新しい施設を建設することにしました。 今回の新築にあたって大切にしたのは、『地域に開かれた場所にすること』でした。以前の施設では、近隣住民の理解が得られず、『我々について正しく知ってもらえれば共存できるのに』と思っていました。そこで、ここを就労者さん やスタッフだけのスペースにするのではなく、誰でも利用できるカフェや、近隣住民も利用可能な指定福祉避難所としての機能を持たせることで、より開かれた施設へと変えていくことにしました。トヨタホームの担当者さんに近隣住民への説明会を何度も開催していただき、オープン前の見学会にも多くの方々にご来場いただいた結果、スムーズに地域に溶け込むことができました。今後はソーラーパネルをつけて、電力の自給自足と非常時の電力供給も目指したいですね」

▲カフェのおすすめメニューのひとつが本格的な焙煎珈琲です。豆の選別から焙煎、抽出まですべてを就労者さんが担当します。「ここは建物の断熱性が高く、安定した室温の中で焙煎できるので、品質にムラがでません」と焙煎担当者さんも新しい施設に満足されています。

作業所としての機能性はどうですか?

明るく広く開放的で、心の障がいを持つ人が過ごしやすい空間になりました

施設長
「この建物の中には、1階に大きな厨房とカフェ、2階に作業スペースとシャワールーム、非常用倉庫が備わっています。1階の厨房は、カフェで販売する料理や菓子類を作るだけでなく、指定福祉避難所として万一の際に大規模炊き出しをする役割も担っているため、大量調理に不可欠な業務用のコンベクションオーブンなど大型の調理機器と広い作業スペースを確保しました。トヨタホームは柱と柱の間が6メートルある大空間を作れるので、柱や壁で視界を遮られることなく作業中の就労者さんの安全を見守れる点がありがたいですね。一般的な住宅と最も大きく違う点はスペースの取り方です。心の障がいがある方にとって、物理的な距離というのは非常に重要な問題になります。空間の広がりや開放感については特に配慮しました。また、半身麻痺で車椅子を使っている方や身体のバランスをうまく取れない方もおられるので、行き交うときに接触する心配がない通路幅を確保。視認性が悪い方も多いので、室内は白を基調にまとめて、照明計画も明るめに設定しました。就労者さんそれぞれの弱い部分をカバーできて、なおかつ心身がしんどくなったらすぐに休めるスペースを用意することで、より心地よく安心して働いていただけるようになったのではないでしょうか。以前は5~10人ほどだった就労者さんが今では20人ほどに増え、2階の作業所の生産性が上がり、取扱個数が約2倍にアップしたのも嬉しいですね」

▲1階の厨房。カフェで提供する料理を作ったり、指定福祉避難所として万一の際に大規模炊き出しができる広さと設備を備えています。

▲プロのパティシエの技術指導が入るお菓子づくりは、季節ごとのメニューも豊富。「ほかのお店ではできないような手間のかかったパンやお菓子ができるのがここの強みじゃないでしょうか」と就労者さん。広く明るい調理場での作業が毎日楽しいのだとか。

▲2階の作業スペースでは、『モノタロウ』から受託しているシール貼り作業や、1階で使う珈琲豆の選別等を行っています。「自分が選んだ豆をみなさんに美味しく飲んでもらえるのが嬉しい」とベテラン就労者さん。

▲指定福祉避難所でもあるため、高齢者と障害者の方を中心に30人分の非常食やマット類などを保管する倉庫も備えています。

施設内につくられたカフェ「まきば」について教えてください。

就労者さんやスタッフ、地域の方々が気軽に交流できるスペースです

施設長
「開かれた施設にしたくて新設したのが、カフェ『まきば』です。施設内で作ったパンや焼き菓子やお弁当を販売し、イートインスペースも用意しました。就労者さんの技術向上と、美味しい料理の提供のために、ミシュラン獲得のフランス料理店で腕を振るっていた西村真俊さんにご協力いただいています。」

▲大きな窓から明るい日差しがふりそそぐカフェ「まきば」。

作業所としての機能性はどうですか?

明るく広く開放的で、心の障がいを持つ人が過ごしやすい空間になりました

シェフ
「ここでは就労者さんにまず『仕事は楽しいものだよ、何でも自由にやっていいんだよ』ということを伝えたくて、彼らが感じたこと、考えたことをそのままやってもらうようにしています。そこに多少のアレンジや調整を加えるのが、監修としての私の仕事です。実はここで提供している全てのメニューは就労者さんが一から作ったもの。ガチガチのレシピはひとつもありません。『社会に出るなら得意不得意なんて言っていられない。何でもできるようにならないといけない』という考え方の事業所もあると思いますが、『不得意なことは無理にやらなくていい、個人の特性を活かしてやっていこう』というソーシャルファームかがやきの方針に共感し、就労者さん十人十色の個性に合ったアプローチで進めていくようにしています。 ひとつだけ私がこだわっているのが、お弁当のメイン料理を『紙包み』にすることです。最初から包みを開けて中を見せていたほうが見栄えがするとは思いますが、包んでいることで『中はどうなっているんだろう』とワクワクさせたり、開けるというひと手間をかけてもらうことで記憶に残るものにしたりすることが狙いです。紙包みは、私や就労者さんからお客様へのギフトのようなもの。ぜひ楽しんでいただきたいですね」

▲毎日メニューが変わるお弁当が人気。この日も日替わり弁当の紙包みを開けると「里芋と豚肉のゴマ味噌煮」がお目見え。具沢山のお味噌汁も人気です。

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