INTERVIEW

インタビュー

 

夕陽山 本福寺

所在地:滋賀県大津市長等3丁目

びわ湖のほとり浜大津の近く、閑静な住宅地の中に佇む夕陽山 本福寺。1461年からの長い歴史を持ち、1648年に本格整備された本堂を、2023年の親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃法要を機縁に解体・新築されました。

お寺の建て替えを考えるようになったきっかけを教えてください。

老朽化と記念法要を機縁として建て替えを決断しました

築375年を迎えた本堂は、少しずつ手をいれていたものの建物全体に傾きが出ていました。台風や大雨、地震などの災害が起きるたびに傷みがひどくなる一方で、特に1648年からそのままの内陣は、修復して使うにはもはや限界。修復できたところで、維持管理にコストと手間がかかることは明らかでした。 しかし、建て替えとなると、歴史ある建物をつぶしてしまうことになるため、門徒さんからも賛成反対様々な意見をいただいていました。

建物本体以外の面でも、段差がたくさんあるなど、どなたにも気軽に来ていただける環境ではありませんでした。「お寺はまずは人に集まってもらってこそ」という気持ちが強かったこともあり、親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃法要を機に建て替えることにしました。

トヨタホームにお決め頂いた理由を教えてください。

必要な広さと強さを、予算内で叶えられたので

建て替える以上は、とにかく丈夫で安心できる本堂にしようということになりました。寺らしい荘厳さは残しつつ、万一の際には避難所にできるくらいの強さが欲しくて、ハウスメーカー数社に電話で相談したものの、思うような対応を取っていただくのは難しそうでした。そんな時に、『宗報』に掲載されていた兵庫県の圓照寺さまの建て替え事例の記事を読み、すぐにトヨタホームに連絡。トヨタホームは寺院建築の実績があるだけに話がスムーズで、「まずは圓照寺さまの本堂を見学に行きませんか」ということに。実際に拝見したところ、どんな建物になるかのイメージがしっかりと確認できたので、役員会においても「トヨタホームにお願いしよう」という結論になりました。

▲建て替え前の本堂

全館空調スマート・エアーズと内回廊を採用して快適に

建て替え後に最も変わったのは快適さです。以前は建物の内外を隔てるのがガラス障子だけで、夏は開け放すと風が通って気持ちいいのですが、冬は閉めてストーブを6台焚いても温かい空気が上に行ってしまい、寒さが厳しかったのです。今回、断熱性の高い建物にすると同時に全館空調「スマート・エアーズ」を導入したところ、広い堂内は温度ムラなく快適に。環境負荷がかからないようサッシをペアガラスにした結果、窓に結露が付かなくなったことにも驚きました。また、回廊に屋根はあるものの屋外だったので、雨が降る度に掃除が大変でしたが、内回廊にすることで手入れがずいぶん省力化されました。ありがたかったのは電動シャッターです。急な来客時にもボタンひとつですぐにお入りいただけるようになりました。ご本尊がきちんと守られている安心感も大きいですね。

▲以前は屋外にあった回廊を屋内に取り込んだ結果、空間に広がりが感じられるように。全館空調「スマート・エアーズ」があるから、下足室に入った瞬間から暑さ寒さのない快適な室温で来客を出迎えることができる。室内に見えるのは吹き出し口だけ。内装にさりげなくとけ込み、室温を調整してくれる。

本堂が完成しての感想とこれからについて

建物は新しくしながら、内陣は昔ながらの重厚さに

▲柱と柱の間が6mあるので、以前よりもお内陣全体が見渡せるように。外陣は、ご住職のご希望通り50畳の広さを実現。内陣内部は、畳に座って拝んだときにどう見えるか、を考えて設計。

本堂を継続していけることが嬉しくありがたい

建て替えにあたってこだわったのは、大勢の方にお参りに来てもらいやすいようにすることと、昔のものをできるだけ残すことでした。入り口にはスロープをつけて、車椅子でも簡単に上がれるようにバリアフリーを採用。出入りのときには濡れなくて済むよう屋内に下足室をつくり、大人数が一度に出入りできる横幅を取りました。大人数が一堂に会せる50畳の外陣は、明るい木目のクロスをうまく使って、温もりのある空間にしていただきました。 本堂で使われていた蟇股(かえるまた)や欄間や金具は洗って装飾をしなおし、きれいにして再利用。欄間は7枚あったうちのきれいな2枚を選んで飾っています。建物は最新になりましたが、お内陣は略式にすることなく、昔ながらの重厚さをそのまま残すことができました。

▲以前からお付き合いのあった仏具店と連携し、歴史あるお内陣の重厚感をそのまま再現。年数とともに損傷や色褪せが出ていた仏具が丁寧に修復され、本来の輝きを取り戻した。

昔からの門徒さんがたくさんいらっしゃいますので、「トヨタホームで建てる」と言った時には「どんな本堂になるんだろう」と不安をもたれていたと思います。しかし、実際にできてみると意外なほど抵抗なく受け入れていただき「明るくなってよかった」と喜んでもらえました。本堂を継続して残していける道筋ができ、「この本堂で頑張っていこう」と思うことができました。今はきれいなお内陣で安心してご本尊をお守りできるようになり、それが何よりも嬉しくありがたいですね。

▲本堂は、住宅で建築確認申請をすると最も高い等級が得られる耐震性を持ち、日頃の手入れが簡単で、外壁も含めて60年の保証付き。軽量鉄骨造は火災保険料が安くなるメリットも大きい。気密性が高く室内の温度変化が少ないので、グランドピアノを置いていても安心で、音色がよく響くようになったそう。

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